異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。




「……まさか」


セリス王子が、呆然と呟く。


「あの炎は……本当に、燃え上がっている火……なのですか?」

「ああ。連中の襲撃だけじゃない。民や王族を護るべき衛兵や騎士に裏切り者が続出してる。守るでなく、連中と一緒に襲いかかってるんだ。丸腰の一般人が敵うはずがない。
俺が報告を受けただけで、少なくとも数百単位の裏切りが出た。死傷者は少なく見積もってもその十倍は覚悟した方がいい」

「おい! 騎士団長は知らないか!?」


ハルトが焦った様子でカイル王子に訊ねる。カイル王子は直接訊け、とエークに積んであった無線機を彼に渡した。


「今は、連中に国王陛下と王妃陛下が囚われている。バルドとティオンが頑張っているが、相当な術者がいて。ティオンすら手を焼く相手に、他の術者が敵うはずがない。俺たちは被害が広がらないよう食い止めるだけで精一杯だ」


だから、呼びに来たとカイルは息を切らしながらセリス王子を見遣る。


「早く、来い! 下手をすると国が滅びるぞ」

「……わかりました。父上と母上はどちらにおいでかわかりますか?」


やはり、動揺していたのだと思う。セリス王子は言葉を失って微動だにしなかったけど、カイル王子の言葉に我に返って瞳に力強さを取り戻した。


「すまないが、そこまではわからない。だが、ティオンが事前に妃の言霊の護符を持たせているから、おそらく無事でいると思う。居場所はその妃が頑張って捜してくれてる」