「わかりました……ただ、ちゃんとその時にはお話ししてくださいね」
あたしが不承不承頷けば、向かい側に座るセリス皇子がフワリと優しい笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。こちらとしても、理解が早くて助かります」
きっと芹菜辺りなら卒倒しそうな皇子の美形っぷりだけど、あいにくあたしはときめきませんよ。
女として終わってるって自分でも思うけど。仕方ないやね。こういうのは自然になるもので、無理になるものでない……って芹菜は言ってたし。
彼氏いない暦=年齢どころか初恋もまだの、しょっぱく枯れたあたしと違って芹菜は中学二年の頃から付き合ってる彼氏もいたし。恋愛マスターとは言えなくても、あたしよりはいろんな経験をしてる(変な意味でなく)。
(現代日本では誰ひとりあたしに声をかけて来なかったもんね……この世界でだったら、あたしも好きな人が出来るのかな?)
芹菜のことを考えると、懐かしい気持ちが湧いてくる。あたしが居なくなって1週間近く経つ……きっと、心配してるだろうな。とまた思い出し考えてしまった。
せめて、無事だとかなにかメッセージを伝えられればいいのに。ひと言でも直に言えれば安心させられるのにな。
はあっ、とため息をついて慌てて息を飲み込んだ。いけない! ここはまだ皆がいる大広間だった。
「なにか、お悩みですか? わたくしで良ければお話をお聞きします」
セリス皇子が心底心配そうにこちらを見遣るけど、その心配顔にふと既視感を感じた。
(あれ? あの眉を寄せる表情……どこかで見たことがある?)
あたしは大丈夫です! とご飯に集中するふりをしたけど。胸の引っかかりがいつまでも取れなかった。



