異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





「……ってか。条約締結まで後少しってのに、国王陛下以外の王子どもは全員正気失ったんじゃね? なんなんだ、あのゲームみてぇな逆ハー状態は。ゾッとするぜ」

ハルトが忌々しげに言うように、今やアイカさんは王子達のアイドルだ。バルド以外のどの王子も彼女を優遇してる。一体どうなってるんだろう?


というか……


「ハルト、ゲーム知ってるの?」


あたしが気になって訊いてみれば、彼はハッとなってバリバリと頭を掻く。


「ちょっ……訓練後にそれ、マジやめて! 何かが飛んでくるし臭い!」

「てめ、言うに事欠いて臭いだとぉ!? だれが訓練つけてやったと思ってる。失礼なやつは、こうだ!」


ハルトはガバッとあたしを抱きしめ、顔をすりすりしてくる。とはいっても、男女の甘い空気は一切なくて。単なる嫌がらせだってのはわかってますよ!


「ぎゃああ! や~め~て! くさい! 汗がベタつく!!」

「労働の汗をバカにすんな~! これでもか、これでもか~」


ひいぃい……とあたしが助けを求めてると、ハルトの体がヒョイと持ち上がって離れた。


「相変わらずですねえ。仲がいいんだか悪いんだか」


呆れた口調でハルトを持ち上げたままなのは、久しぶりに見たレヤーだった。


「おい、早く下ろせ」

「ダメです。前はそう言ってまた和さんにいたずらしてたじゃないですか。小学生じゃないんですから、好きなおん……モガッ」


レヤーがなにか言おうとしたのを、いつの間にか抜いた剣で止めたハルト。な、何だか鬼気迫るものを感じますな。


「いいか? 余計なお喋りする舌を斬られたくなかったら黙ってろ」

「ひ、ひゃい……」


青筋立てたハルトと青くなったレヤー。何だか対照的だけど、レヤーは何を言おうとしたんだろう? 後でこっそり訊こうと思ったけど。


「ぜってえ喋るなよ。喋ったのが判った時点で地の果てまで追い詰めるからな」

とレヤーが脅され涙目でコクコクうなずいてたから、諦めるしかなかった。