「“味はどうですか?”って訊かれてますよ」
ハッと意識が現実に戻ってきた。そうだった。今は部族長のお家でご飯をいただいてるんだ。
声を掛けてきたのはレヤーで、部族長の言葉を通訳してくれたみたい。
居間に相当する大広間は八畳くらいの広さで、巨大な鳥がいるせいもあるけど、大人が十人近くいると狭く感じる。
テーブルのようなものはなくて、草の編み物の上に裸足のまま座って食器も床に直に置いてる。カラトリーや箸のような類いはなくて、基本的に手で直に食べるみたい。
石造りの床は冷たく感じるけど、我慢して木製の食器を手にした。
夕食のメニューは雑穀を煮たお粥に煮たもの、木の実を炒ったもの、それから葱みたいな地下茎の球根を薄切りしたサラダみたいなものだった。
たぶん、この土地で手に入る食材で精一杯おもてなししてくれているんだろうと思う。ハッキリ言えば“美味しそうに見えない”けど、自分たちの貴重な食料を使いおもてなしをして下さる気持ちを無下にはできなくて、ありがたくいただいた。
お粥のようなものは野菜というか葉っぱのようなものが浮いてる。案外ハーブのようないい香りがして、とろみのある塩味に風味を添えていて、おいしい。
「ありがとう。とてもおいしいです」
あたしがそう言ってレヤーが通訳すると、部族長は嬉しそうに顔をほころばせた。厳めしい顔つきと大きな体だけど、案外笑うとかわいいな……なんて思うのは失礼かな?



