「……誰だ?」
『お休み中失礼いたします。侍女長のフレイルでございます。和様の体調がよろしくないとのことで、お医者様をお呼びいたしました』
ミス・フレイルの登場に、心底ホッとした。バルドも彼女は無視できないのか、ベッドから起き上がって髪をくしゃりとかきあげた。
「……わかった。入ってもらえ」
バルドが離れたことであたしも起き上がろうとしたけど、どうしてか体が震えて力が入らない。バルドはあたしの肩を掴むと、そのままベッドに戻して体に布団をかけてくれた。
「そのままじっとしていろ」
「だって……ドレスが。シワになっちゃう」
「ドレスならいくらでも作ってやる。いいから寝てろ」
くしゃり、と指で髪の毛を撫でられて。彼の意図がわからなくて、目を瞬いた。
「で、でも……あたしのドレスは国民の貴重な税金で作られてるでしょ? 無駄にしちゃダメだよ。王族だから、貴族だから、贅沢できて当たり前って考えは嫌だもん」
あたしが思ったことを口にしただけなのに、どうしてかバルドが奇妙なものを見るような目をしたのは気のせいですかね?



