「和、ありがとう。アタシをそんなに想ってくれて、すっごく嬉しい。それだけで逢えた意味があるよ」
セリナは芹菜の口調で言うと、あたしをギュッと抱きしめてくれる。彼女の瞳から一粒の涙がこぼれて、本当に喜んでくれてるんだ……って。あたしにもわかった。
「そうね、確かにわたくしも和の言う通り。戻りたくて仕方なかったわ。けど……できない事情があったの」
「え? それって……どんな?」
気になったあたしが訊ねると、セリナはあたしの体を離して椅子に座るよう促す。落ち着きたいのか、紅茶を一口飲んでから息を吐いた。
「あなたがわたくしをそれだけ想ってくれるなら、余計に言いづらいのだけど。けれど、友達だからきちんと言うわね」
「うん……」
いったいどんな事情かと緊張しながら待つあたしに、セリナから告げられた真実は。
「わたくしは……召喚される直前で、事故にあってひどい怪我を負っていたの。意識朦朧としている最中、自分の体があり得ない状態になってて……ああ、助からないなって。そう思えたくらいにはね」
「え……」
「しかも、雨が降ってる深夜で現場は人家も人通りもない町外れ。轢き逃げだったから、あのままだったら誰にも見つからずにいたでしょう。
だから、セイレム王国に飛ばされた時。当時はいち王子に過ぎなかったハロルドに逢わなかったら。彼が治癒術に長けていなかったら。わたくしは確実に死んでいたわ」



