「日本からやって来た女性は斎王(いつきのみこ)を務めた経験もあるとても強い力を持っていたの。けど、その力を古代兵器の封印に使ったために大半は失われてしまった。けれど、自分は永遠には生きられない。だから、彼女は自らの血を封印の条件として子孫へその力が伝わるようにした。それが、水瀬(みなせ)の巫女と呼ばれる血筋の始まりだったの」
「……古代の日本人が……あたしのご先祖様だったの?」
「わたくしが聞いた限りでは、そうだったわ。全ては彼女が知ってるはずよ」
セリナが再び目を向けた先は、あくびをするヒスイ。彼女は目に涙を浮かべながら、それを指で擦ってた。
「ヒスイ、知ってたの?」
《まあな。わらわは糸魚川という地で生まれし翡翠。そこから見守った全ては記憶しておる》
悪びれるふうもなく、つまらなさそうに話すヒスイ。外見は人間に似てても、やっぱり人とは感覚が違うんだ。苛立ちながらも、どこか諦めに似たものを感じた。
「それじゃあ、あたしのご先祖様ってどんな人だった?」
《そうじゃのう。大人しい絶世の美女じゃった。同じ血を引くはずのそなたの造型とは大違いじゃな》
「わ、悪かったわね。個性的と言いなさいよ」
ぽかぽかと殴ろうとしても、実体化してないからスカスカと空を切るだけ。虚しいからすぐにやめたけど。いつか殴っちゃると闘志を燃やした。



