ライムおばあちゃんは歯が悪いから、食べやすい雑炊にしてみた。雑穀と大豆と川魚でとろとろになるまで煮込み、持ってたしょうゆに似た調味料で味をつける。
懐かしい、とライムおばあちゃんは喜んで食べてくれた。
「この味……ヒトミが作ってくれたものに似てるわ」
「そうなんですか。お母さんはどんな子どもでした?」
「活発な女の子だったわ。ヒトミの母は大人しいひとだったけど、ヒトミは男の子に混じって木登りをしたり。追いかけっこをするような、元気いっぱいの娘だった」
あ、やっぱりってあたしは納得する。お母さんはG(黒いアレ)が出た時、自らハエ叩きを振りかざしてたし。万引きを見つけたら、逃亡する犯人を追いかけタックルするようなひとだった。
母親というより気のいい友達。妙にウマがあったのは、あたしが間違いなくがさつでお母さんと似てたからだ。
「それじゃあ……こ、恋なんかは? 好きな人がいたんですよね? あたしが生まれたんですから」
母親の恋愛事情を聞くのは恥ずかしいけど、あたしの根源にも関わることだから。どうしても訊かずにはいられない。
自分の父親が本当は誰なのか、もしかするとここにまだ住んでるのか。ドキドキしながら待っていると、ライムおばあちゃんは器をおいてため息をついた。
「たしかに、知りたいと思うのも無理はないわね……けど、ごめんなさい。少なくとも、ヒトミはこちらでは恋をしていなかった。だから、あなたの父親が誰かは私にはわからないの」



