異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。




コンビニに行けばいろんな食べ物があるけれど、そんな経済的余裕はありません。だから、あたしは軽く食べられるサンドイッチやおやつを持ってきてた。もちろん飲み物も完璧に用意してある。


(そうだ。この先に神社があったよね。どうせならそこで食べようっと)


神社は丘の上にあるから急な階段を登る必要があるけど、毎日通ってお参りしてたからへっちゃら。慣れた道を通って階段を登りきると、眼下に街を一望できる景色が広がった。


「うわぁ……やっぱり綺麗だあ」


遠くに山が見えて包み込まれるような街に人の灯りが広がり、その上の藍色の空に瞬く無数の星たち。あの日と変わらない景色に、ついつい感傷的になる。


「秋人おじさん……どこにいっちゃったの?」


冬の日、流星群の中でプレゼントされたペンダント。丸く平べったい金属製の装飾品がいくつかと、中央には淡い白色に青緑色のまだら模様の石が配されていた。


ちっちゃい頃は大きく見えたものも、成長すればそれほどのものに見えなくなる。肌身離さず身につけてきたこのペンダントは、あたしの一番の支えだった。 秋人おじさんが大丈夫と見守ってくれてるようで……。


これをなくさなければ、おじさんにいつか逢える。そんな気がしてならなかった。