「戻って来ちゃったのね…。」
逃げ出したはずだったのに、いつの間にか連れ戻されていた。
「ジア、なんであなたもここにいるの?」
「僕も目が覚めたらこの船の上だったんだ。助けてくれたお兄ちゃんが、サフィがここにいるって教えてくれたんだ。」
「…そう。」
さっきは気づかなかったが、恐らくジアも街から一緒に船に乗せられたのだろう。
ジアも一緒だとしたら、ここから逃げ出すのは難しい。
でも売り飛ばされるまでになんとか逃げないと。
じゃないとジアまで売られる。
サフィは目の前に立つジアを抱き寄せた。
「ジア、あのお兄ちゃん達も海賊だったの!このままだと2人とも売り飛ばされちゃうわ!
そうなる前に逃げましょ!」
「え、でも…。」
「そんなことさせないって言っただろ?」
何かを言おうとしたジアの言葉は、聞き覚えのある低い声によって遮られた。