立ち上がったサフィはデッキの手摺に駆け寄り、海を見下ろした。

周りに島は見当たらなくて、果てのない大海原がどこまでも続いている。


「なんで…。」


王宮の中で大事に育てられて来たサフィは、もちろん船になど数えられるほどしか乗ったことがなく、目の前に広がる景色と船独特の揺れに胸が高まるのを感じた。





目覚める前の記憶では、確かサフィは街にいたはずだ。

ジアという少年と出会い、そして海賊に連れ去られそうになった。

そこを何者かも知れない男に助けられたのだ。



しかし今サフィは確実に海の上にいる。