「んっ…。」


サフィは鼻腔を擽(くすぐ)る海水の匂いと、肌に当たる生暖かい風に目を覚ました。


目の前に広がるのは、どこまでもどこまでも続く碧い海と澄み渡る青空。


ここは海に突き出した屋根付きのデッキのようだ。
半円型のそのスペースはかなりの広さがあって、その真ん中に縁(へり)なしの大きなベッドが横たわっている。

サフィはそこに寝かされていた。

そしてふわふわと揺れる感覚。


ーー船だ。


体が感じる浮遊感に、すぐに答えが見つかった。