「だからそこをどいてもらおうか?いくら美人だろうが、邪魔するなら容赦はしねーぜ?」


男はそう言うと、ズリっと足を引き摺り一歩前に出た。


「ま、待って!お金!私が払うわ!」


「はぁ?」


「今までの分も!もうこんなことさせないから…それで許してくれないかしら?」


サフィはそう言うと、袖もとに入れておいた巾着袋を取り出した。


「はーん。ねーちゃん金持ちの娘か何かか?」


男はニヤニヤと顔を歪めると、そう言ってまたもう一歩前に出た。

にじり寄ってくる男に恐怖で顔が強張る。


「なぁ、ねーちゃん。
もしあんたが20万ルビー払ってくれるなら、許してやらなくもないぜ。」


20万ルビーは小さなダイヤが幾つか買えてしまうような値段。


「払えないなら大人しくその坊主をよこしな!」


男はくすんだ瞳を光らせ、そう言った。