不意に、千霧は歩みを止めた。 「どうなさいました?」 「何でもないよ……行こう」 一瞬、名を呼ぶ声が聞こえた。 もう、風が拐ってしまったけれど。 「……朱陽に、光あれ……」 これは神々の息吹く、神代の物語。 千霧の運命を呑み込み、今、宿命の歯車が回り始めた。