「……仰せの通りに。私は貴方がいるならば、何処へでもついていきましょう」 大きな安心感をくれる呉羽の言葉に、千霧は自然と笑顔になった。 「……ありがとう」 ふと日が翳る。 窓から外を見れば、もう空は黄金色に染まっていた。 こんなときばかり、早く時が進んでしまう。 失いたくない時間ほど、自分を待っていてはくれない。 気持ちが焦っているという証拠だろう。 「もう夕刻か」 頬杖をつきながら、時間よりもゆっくりと流れる雲を、千霧はじっと見つめていた。