紫蓮と別れた後、呉羽は一人、中庭の池に浮かぶ睡蓮を眺めていた。 思えば、千霧に忠誠を誓ったのはこの場所だ。 ──私の傍に居て欲しい。 そう言った千霧との誓いを、今の自分は果たせていない。 「千霧様……」 罪悪感に胸が押し潰されそうになる。 「今……貴方のお側には……一体誰がいるのでしょうか……」 きっと罪悪感とは違う。もっとそれは、欲望に近いものだ。 けれどそれを言葉にすることは、呉羽には出来ない。