「すみません、言葉が過ぎましたね……この話は終わりにしましょう。今日はただ、僕の状況をお伝えしたかっただけですから」
紫蓮は別段、呉羽を咎めるような素振りは見せなかった。ただ、目を細めると窓の外を見つめる。
「いずれ千霧は人で無くなる。──その時、傍に居てやれるのは、僕ではないでしょうから」
逃れることの出来ない宿命は、誰もが皆、等しく持っている。
「……僕はこの朱陽の正当な跡継ぎ。次期皇たる僕が揺らげば、朱陽も陽も揺らぐというもの。弱気になるのはいけないことでしたね」
「紫蓮様……」
紫蓮は千霧と同じ色をした静かな瞳に、呉羽を映す。
その眼差しは揺らぐことなく、秘められた強い意志を象徴していた。



