「呉羽殿、例えばの話ですが。僕が今ここで、自らの命を絶ったら、異形も共に死ぬのでしょうか」
意志の強い瞳は、千霧と同じだ。その瞳に射ぬかれると、呉羽は嘘を吐けなくなる。
呉羽は静かに、首を横に振った。
「いいえ。貴方の体は、異形を封じる器そのもの。もし命を絶ち、貴方の魂が滅んでしまえば、空となった器から異形が解き放たれるのみ」
「……それは暗に死ぬな、ということですね」
「はい。紫蓮様は、彩國にとって必要なお方。何より、千霧様が哀しまれます。どうか、ご自愛なさってください」
今言ったことは全て本当ですが、と付け足し、呉羽は普段の調子で微笑んだ。



