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「僕は──もう永くないかもしれません」
部屋に着いてからの、紫蓮の第一声はそれだった。
その言葉の内容とは裏腹に、彼は凛とした態度を崩さずに言い放ったのだ。
「二人が旅立って暫くは、最初は僕の中の異形もおとなしくしていました。……ですが、近頃は意識が無くなることや、身体が自由に動かなくなることが増えたのです」
意識の無いときは、自分が何をしていたのかも分からない、というのだ。
「紫蓮様のお身体に宿る異形は龍の血を引く強大なもの。もしかすると、千霧様が龍としての力を取り戻すと同時に、その異形も力を増しているのかもしれません」
もし、呉羽の言う通りならば、それは危険だ。なにより優しい千霧は、それを知れば龍となることを拒むだろう。



