睡恋─彩國演武─


暗雲に覆われた青城、なす術もなくうろたえる人々。

血と悲鳴の混沌に現れたのは、それは美しい、海よりも鮮やかな青色の龍だった。
龍から放たれる光を浴びると、異形たちは次々に消えて無くなっていったのだ。

「嘘のようでしたよ。龍も、異形が全て消えるのと同時に、姿を消してしまいましたから」

火麟が話し終えると、呉羽は確信を得たように頷いた。

「青城を救ったのは、間違いなく青龍でしょう。そして恐らく、青龍は今でも力を保ったままですね。四聖の使命も憶えているはずです」

「それならどうして、僕らの前に姿を現さないんだろうね。まさか本当に出てこれない理由があるとか?」

「有り得ますね。それに今は、肝心の千霧様が居ない。四聖は龍に引き寄せられるものです」

「やっぱり……ま、想定内だけどね」

はぁ、と藍は溜め息を吐き出した。