千珠には、ひとつ気になることがあった。 いつも共に居る月読が、自分を当たり前のように『千霧』と呼ぶことだ。 その名に聞き覚えはない。 だとすれば、千霧とは誰なのか。自分は一体なんなのか。 考えると気味が悪い。 だから、自分がここに存在する絶対的な理由が欲しかった。 蒐はそれを簡単に与えてくれた。 珀を護ること。 珀が生きていることで、千珠は自分の存在を感じられる。