数歩離れた所を並んで歩く由良と呉羽を双眼に捉えながら、再び話す。 「でも、知らなくてもわかる。呉羽も、由良も、藍も、私は好きだ」 「千霧……」 「だから、私はそれでいい。名前のわからないこの気持ちが、私の宝物だよ」 千霧は確かに、幸せそうに笑っていた。 藍も頷く。 「僕も──、だよ」