睡恋─彩國演武─


嫌な予感がして、由良は目をそらすが、藍の冷たい視線がそれを許さなかった。


「……俺、嫌ですからね」


しぶしぶ視線を戻し、先手を打っておくが。


「なぁに言ってんの。僕まだ何も言って無いじゃん」


そこまで潔く言い切られると、泣けてくる。

きっと無茶な事を言い出すに違いない、と由良は覚悟した。

藍はそんな由良の事情など全く興味がない様子で、にっこり微笑んで告げた。


「由良は千霧の味方で居てあげてよ」


意外すぎる要求に、咄嗟に言葉が出てこなかった。


「何、その面白い顔。僕、変なこと言ったつもりは無いけど」


吹き出しそうになるのを堪えながら、藍は由良の顔を指差した。


「べ……別に俺だって面白い顔はした憶えないですけど……ッ!」


「あぁ、じゃ、もともとなんだ。へぇ、可哀想」


「そうじゃなくて!」


真っ赤になっている由良に、藍はあくまで冷静な反応を見せた。


「はいはい。説明って面倒だよ、まったく」