「あぁ……龍っていうのは名前だけなのか!?」


不安でたまらない。

何も考えず、ただ彩國を救う為、ただそれだけに尽力してきた。


『蛟(ミズチ)のままでは、あなたは彩國にとって凶となります』


──いつか呉羽が言っていた。

そうか。


「私は──蛟」


まだ龍ではなく、不完全。


「千霧様。俺は王子の言ったこと、否定はしません。里津や陰となれば、安全が保証できない。陽の国がこの荒れようですから、呉羽様も肯定したんだと思います」


「四聖は大地を感じている、か」


千霧の知らない大地の鼓動は、四聖の胸に響いていた。