千霧は膝を抱えると、ちいさくため息をついた。


「……皆の考えていることが、急にわからなくなった」

「藍王子は、本当はあんなこと言う人じゃないと思います。確かに口は悪いけど……でも……」


でも、優しい人だから。


「──わかってるよ、由良。でも……だから、だから余計に辛いんだ」


余計に辛くて、哀しい。

間違いだと言って欲しい。

それが甘えだというなら、そうかもしれない。


「心配してくれたんだ。──でも、やっぱり」


膝に顔を深く埋めると、不思議と冷静になれた。

確かに、いくら心配をかけまいと頑張っても、皆の力には到底追いつかない。


さきの戦いで力の差を思い知った。

千霧には、龍の力があっても使いこなせない。

あるだけで使えない力なら、そんなものは無意味だ。