〔壱〕辿り着く絲 随分と酷いことをした。 でも、これで良かったと思ってるよ。 「僕、嘘が下手になった……」 呉羽は、小さく首を振った。 じゃあ、僕が泣いている理由って、何? 嘘が巧い奴だったら、簡単に顔に出したりしないんじゃない? きっとあんなこと言いたくなかった、って言ってるんだろう。 もう一人の僕がさ。