「私が龍になったら、止められる。──一刻も早く、青龍を捜さなければ……」
「ちょっと待った。だからって状況の掴めない里津に行くの?それ無謀すぎやしない?千霧がわざわざ危険を冒してまで青龍を捜す必要って無いんじゃない?」
藍の予期せぬ一言に、千霧はハッとする。
「一国の皇子だよ?それに『龍』なんだ。龍は彩國に千霧一人だけ。本来、誰よりも安全でなくちゃいけない存在なんだから……」
「何が……言いたいの?」
聞き返してくる千霧を、藍はバツが悪そうに見た。
「ハッキリ言うけど。四聖が三人も揃えば、アンタがいちいち自ら危険な場所に行かなくても、青龍の一人くらい見つけるのは楽勝ってこと。つまり千霧は朱陽に帰った方が良いの」
ね?と呉羽に話を振る。
この時、藍は密かに目配せした。
(アンタなら……わかるだろ、僕の考えてること)
彼の言うことは、けして間違ってなどいない。
千霧が安全な場所に居られるのは何よりだし、龍を失うような事があれば彩國の未来は暗雲に包まれる。
それは、四聖である三人が一番よくわかっていた。
だからこそ呉羽も安易に否定できず、その態度は千霧をさらに不安にさせた。



