「龍じゃない。どうしたの?まだ足が痛むでしょう」 「今は大丈夫。……胡弓、お上手ですね」 「そう?ありがとう」 アイは手すりから飛び降りると、千霧に歩み寄る。 こうして近くにいると、彼女の背丈は高く、千霧は威圧感さえ感じた。 「アタシが龍に協力できない理由は、一つだけじゃないの」 「──?」 アイはため息をつきながら、面倒くさそうに髪をかきあげた。