もちろん仕事だけに燃えてたわけじゃなく、新しい恋もした。


大学で知り合った女性と、
教師2年目で結婚。


で、子供ができた直後、
相手の浮気が発覚し、離婚。


……俺はどうも、女運がないねんな。


でも娘の親権をもらえたことが唯一の救いだ。




いつまでも落ち込んでなんかいられないくらい、毎日は忙しく過ぎていく。



「こらー、お前ら。こんな時間に何ウロウロしてんねん」


「あっ、やばっ! 河本や!」



俺は学校以外にも、夜、繁華街の見回りに出かける。

子供たちが道を踏み外す前に、見つけてやりたいからだ。


「お前ら、早く帰れよ。危ないから」

「はーい」


あの頃の俺と同じ、10代の子供たち。

これからたくさんのことを経験し、傷つきながら成長していくんやろう。


でも決して、彼らに傷をつけるのが、大人であってはいけないんだ。



子供は、大人の犠牲のためにあるんじゃない。



すべての子供は、

未来の、自分のために。