あんなのキスじゃない。


あんなキス……

絶対認めない。




浅い眠りの中、何度も志則のキスを思い出した。


その度に胸がドキっとして

体中が熱くなって反応する。


志則と初めてセックスした時は、こんなふうにはならなかったのに……。



あの時は、自分でも不思議なくらい自然だった。


志則に軽い女だって思われてしまう心配とか、

これからのこととか……


何の心配もなく志則の腕に抱かれたんだよね。




キスくらいでこんなに胸が苦しくなるなんておかしいよ。

絶対おかしい。


今まで、キスをしてこんなに苦しくなることなんてなかったよ。


杉田君とキスした時は、
嬉しすぎて空に浮かぶお花畑を走り回る気分だった。


中学時代のファーストキスだって同じような感覚だったのに……。



志則のキスだけは違った。


言葉では表せないくらい、

切なくて、苦しくて……。



最後に見た志則の悲しそうな瞳が

よけいに私を混乱させる。