「舞は、私を嫌わないでくれた。私の気持ちが嬉しいって、言ってくれたの! 私の気持ちには答えられないけど、これからも友達だよって」


 日の光が、篠塚の横顔を優しく照らす。


「だから、嬉しいの。これからも友達でいられるってだけで、私は、もう……いいの」


 光に照らされて淡く光る篠塚の頬に、俺は手を伸ばす。

 物悲しげに微笑むその横顔にそっと触れ――つまんで引っ張る。


「なっ、何ひゅるのよ」


 頬が伸びて滑稽になった顔で、篠塚が睨んでくる。

 俺は、その顔に微笑みかける。


「無理、すんなよ」


 失恋して、悲しくないはずがない。

 俺の言葉に、篠塚の目にみるみる涙が溜まっていく。

 口をへの字に曲げ、眉を寄せて、くしゃくしゃの顔になる。

 ドンッ、と半ば体当たりをするように俺の胸に飛び込んでくる。

 俺は壁に背中を打って、ズルズルと床に座り込む。

 俺の膝の間に座り込んだ篠塚が、俺の胸で泣いている。

 声も上げずに、泣いている。