「う〜ん」


 俺は腕を組みながら、首をひねる。

 篠塚と三笠のケンカの原因が、自分だったらどうしよう……クリスマスは二人の邪魔をしちまったようなもんだし。

 篠塚に声をかけられたらこの間のことを謝るのといっしょにどうしたのか聞けるんだが、残念ながらここからじゃ篠塚に声は届かない。

 届くような声を出したら、教師に叱られるオチがまっている。

 身長自体は同じぐらいなのに、背の順に並ぶと他の奴らの身長の関係で男女の列が並んでも隣にはなれない。

 俺の方が後ろだ。

 唸っている俺に後ろのクラスメイトが小声でどうかしたのかと尋ねてきてくれるが、なんでもないとしか答えようがなかった。

 あんまり、篠塚と仲がいいことを覚られたくない。

 三笠と剣道部の奴らにはわかってしまったが、他のクラスの連中にまで知らしめる必要はない。

 けれど、こんなに篠塚のことばっか見ていたら、なにか勘ぐられてしまうだろう。

 水無瀬みたいな勘違いをされても困る。

 俺は篠塚から檀上の校長へと目を移す。

 相変わらず校長は代り映えのしないただ長いだけの話をしていた。