「三笠は、可愛い系？」


　篠塚は、三笠のかわいいところが好きなんだろうか。


「だな〜。あ、もしかして三笠の方が好きなのか？　それで、篠塚に仲を取り持ってもらおうとしてるとか！」

「そんなんじゃねぇよ」


　本当にそうなら、オトモダチどころかライバルだ。


「香坂もカッコイイ系だよな」


　三笠のことから話を逸らそうと、篠塚と仲のいい他の女子のことも聞いてみる。


「いやいや、アレはかわいい系だって。わかってねぇなあ、稲葉は」


　そのまま他愛もない話に移行しながら、俺は篠塚のことを考えていた。

　意外に自分が男子にモテているとわかったら、篠塚はどう思うのだろう。

　もしも俺が意外に女子にモテているとわかったら、俺はなにを思うのだろう。

　まあ、俺がモテているなんてない話だとは思うけれど……怖いよな。

　そんな風に俺のことを好きになってくれる人がいたら、それはとても嬉しくて幸せなことだろう。

　けれど、俺が同性の青山が好きでその気持ちに応えられないと知ったら、相手はどんな顔をするんだろう。

　好意の眼差しが、嫌悪に変わる。

　そんな様を、想像してしまった。