「稲葉! クリスマスん時は、ちょーしこいてすんませんでしたー!」


 席に着くと水無瀬が駆け寄ってきて、そのまま深々と頭を下げられる。


「な、なんだよ……急に」


 いきなり謝られたことに不気味さを感じた。


「あのあとさぁ、青山ぶちょーに怒られたんだよねぇ。だから、反省してるってわけ。やりすぎちまったなぁっと」

「いや、それは別にいいんだけどよ……」


 確かにあんなことをしてくれやがった水無瀬に恨みはあるが、それよりも気になることがあった。


「青山部長?」

「うん、青山透ぶちょー。青山、部長になったんだぜ」

「へえ、すごいじゃん!」

「うちの部長はすごいぜぇ〜」


 そういえば、三学期は部活動から三年生が引退する時期だった。

 運動部なら、夏休みで三年はほとんど部活に顔を出さないようになるし、前々から青山が部長になることは決まっていたんだろう。

 さすが青山。

 なんだか、誇らしく感じた。