「可愛いね。似合うかな？」
左手にブレスレットをとめて舞の方を見ると、舞はチェーンと止め具の追いかけっこをしていた。
金具を持ってチェーンを止めようとするのに、手首を滑ってゆらゆらと揺れるチェーンに金具はなかなか引っ掛からない。
「やってあげようか？」
その不器用さに苦笑しながら申し出ると、舞は照れたように舌を出して笑い
「お願いします」
とブレスレットと左手を差し出してきた。
私はブレスレットを受け取ると、舞の左手に一周させる。
丸っこい舞の指先は綺麗に整えられていて、よく見れば透明なマニキュアがぬられていた。
化粧が禁止されている校則の中でせいいっぱいオシャレをしようとする舞に、私は可憐な少女を感じた。
「愛ちゃん、顔赤いね。大丈夫？ 寒い？」
「大丈夫！ はい、出来たよ」
慌ててブレスレットをつけると、舞の手を放す。
「ありがとう、愛ちゃん！ 似合う？」
手首を胸の前まで持ってきて笑う舞に、私は自然と笑みがこぼれた。
「うん、とっても」
