これからの教室は決して居心地のいいものではないだろう。

 今は変わらず接してくれる青山や水無瀬、香坂も俺たちと仲良くすることでいやな目に合うかもしれない。

 俺たちから離れて行くかもしれない。

 それでも、俺は今この瞬間に得がたいものを得ているのだと実感する。



 そして、なにより――




「行こう」


「うんっ」


 差し出した手が握り返される。

 篠塚の手は、あたたかだった。


 この手は決して離れない。

 放さない。