「私、篠塚愛子は三笠舞が好きです!」


「俺、稲葉圭一は青山透が好きだー!」


「私は……」


「俺は……」


 息を大きく吸い、二人声をそろえて叫ぶ。





「同性愛者です!」





 二つの声が重なり、一つの声となって響き渡った。


「あはははは!」

「ははははは!」


 学校の屋上でこんなことを絶叫している自分たちがおかしくて、声を上げて笑う。

 篠塚が体を震わせるから、ガシャガシャとフェンスが耳障りな音を立てる。

 まるで、フェンスも笑っているようだった。