――もし、舞に好きな人がいたとしたら、私はどうしただろう。

 悲しくて切なくて、きっと相手を怨んでしまう。

 でも、舞が好きだから。

 舞が大好きだから、私は応援したいって思う。

 全部が本当じゃなくても、嘘の気持ちが大きくても、舞の幸せが私の幸せみたいに思おうとする。

 だから、余計に頭にくる。

 きっと、この人たちもそういう気持ちで私を呼び出したんだと思う。

 自分の好きな人が他の人にとってはそうでもなくて、自分が彼に告白されたら嬉しくて幸せで天にも昇るような気持ちになるのに、実際告白された人はそれを断り、その気持ちをいらないと言う。

 彼が誰のものにもならないことは嬉しくて、でも好きな人が傷つく姿が悲しくて、振った相手を恨んでしまう。

 そんな、いじらしい気持ち――

 でも、もう違う。

 これは違う。

 私をいじめる理由は変質して、もうそんな可愛らしい物じゃない。


「殺してあげよっか?」


 振り切られた手が、私の頬を打った。