「篠塚さぁん、居るー?」


 急に、聞き慣れぬ声で名を呼ばれた。

 教室の入り口を振り返ると、見知らぬ女生徒が三人立っていた。

 クラスを示すバッジの縁が赤い。

 三年生だ。


「ねえ。篠塚さんって、どれ?」


 威圧的に腕を組んだ人が聞いてくる。


「私、ですけど……」


 手を上げて、何か分からないまま三人に近づいていくと、値踏みされるように頭から爪先まで舐めるように見られた。


「へえ、アンタが」

「何の用ですか……?」


 わざととしか思えない不快な感じ。

 見覚えのない上級生が、私にいったいなんの用だろう。


「ちょっと、顔貸して」


 アゴで示され、教室の外に出るように言われる。

 嫌な予感しかしない。

 行きたくない。


「来なさいよ!」


 ためらっていると腕を掴まれ、引きずり出された。