「そっか……」


 私が否定すると、青山の笑顔はみるみるしぼんでいった。

 私からじゃないことは確かだけど、なんだか悪いことを言ってしまった気がする。


「……篠塚さん」

「はい!」


 憂い気な青山に見つめられて、緊張が走る。


「圭一と付き合ってないって本当?」

「う、うん! 前にも言ったけど、本当に稲葉とはただの友達だから」


 なぜか、ドキドキした。

 目を逸らしても、見られていることが分かる。

 射抜くように真っ直ぐな青山の視線にさらされて、体が熱くなる。


「じゃあ、さ……」

「え」


 また、青山に腕をつかまれた。

 強く引かれてバランスを崩した私は、青山の胸に抱き止められる。

 青山の手が私の背に回る。


「俺と、付き合わない?」


 耳元で、ささやかれた。