「好きだよ……舞」


 泣きじゃくってうずくまってしまった舞の後ろ髪にそっとささやく。


「わたしは、ずっと愛ちゃんと友達でいたかった」


 私は、舞が好き。

 友達としてじゃなく、舞が好き。

 だからもう……友達ごっこは終わりにしなくちゃ。

 私はそっと空を仰ぐ。

 灰色の空から、綿毛のような雪が舞い降りてくる。

 ずっと見上げていても、涙は止めどなく溢れて頬を流れていった。

 舞とはもう、これで終わりにしよう。

 最初から答えは決まっていた。

 私は今、その答えを素直に受け入れることが出来る。

 舞の手首に、クリスマスに買ったあのブレスレットが光っていたから。

 舞はまだ、私のことを好きでいてくれる。


「……ごめんね、舞」


 舞が本当に私のことを嫌うまえに、終わりにしよう。

 かろうじて残った断ち切れない友情があるのなら、私はそれに甘んじるから。


「さよならをしよう」


 このまま舞は引っ越して、私は舞の前から消えてなくなる。


「もう、メールも電話もしない。引っ越し先の住所も聞かない。バイバイ、舞……もう会わないよ」


 それでいい。私はそれでいいから。


「さよなら、元気でね」


 私のことを、嫌いにならないで――――……