「凌ちゃんには、素直で正直で人を思いやれる立派な人になってほしい」 毎晩のように俺にそう言い聞かせていた母親は、知らない男のもとへ俺を置いて去っていった。 いわゆる不倫ってやつ。 よくありがちな話だけど、実際自分の身に起こると辛いんだよな。 とまぁこんな感じで俺は心から人を信じられないというか、ウソに逃げて生きるほうが楽になっていた。 面倒くさいから、彼女も作らずに。 …まぁ、面倒くさいってより、本気になっちゃいけないって想いが俺を踏みとどめていた。