唇を噛み締めて二宮弟を見上げると
『唇、歯型つくよ』と二宮弟が困った様に笑いながら、ワタシの方に近づいてきた。
「恥ずかしくも不快でもないから、今までフツーに絡んでたんじゃん」
そう言いながら、ワタシの頭部の分け目を目がけてチョップを入れる、二宮弟。
「てか、今までだって、そんなにしょちゅう話なんかしてないよね、オレら。 学年違うしさ。 冴木がヤリマンに見られても構わないなら、今まで通り、見かけたら挨拶するし、会話もする。 避けたりなんかしないから。 オレの言い方が悪かったね。 ゴメンゴメン」
二宮弟が、ワタシの頭をワシワシ撫で回した。
「男なんか単純だからさ。 女の悲しそうな顔とか、切羽詰ったカンジとかに弱かったりするんだよ。 冴木、そーやって友達の彼氏落としたんでしょ。 もー。 やめろよー。 うっかりオレまで冴木に落ちたらどーすんだよ。 そんな顔して男誑かしてないで、機嫌直して歌でも歌いながら、さっさと家に帰りなさいな」
最終的に、もう1発ワタシの頭頂部にチョップを喰らわすと、二宮弟は今度こそ自分の教室に戻って行った。
・・・・・・・・・・・・・・二宮弟、ワタシになんか絶対落ちないくいせに。 しかも、男を誑かせられる程のテクも美貌も持ち合わせてないっつーの。
二宮弟によって、とっ散らかってボサボサになった髪を、手櫛で適当に直して、歌は歌わずにワタシも生徒玄関を離れた。



