勝手に古今和歌集

…………ん?





場違いな声と、足元をかすっていく柔らかい感覚に、あたしはぱっと視線を落とした。




そこには、一匹の三毛猫。






「………なんだ、あんたが鳴いたのか」





「みゃーぉ」






…………ん?




なんだ、やけにダミ声だなあ。





ってか、あれ?




この猫とは反対側から鳴き声が聞こえたような………






反射的に振り向くと。






「みゃお、夏木さん」






歩道のど真ん中に座り込んであたしを見上げている学ランが。






「………えっ、犬飼くん!?」





「みゃっほー」






犬飼くんは、やっほー、というように軽く片手を挙げて立ち上がった。