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「あれ〜? 消しゴム忘れちゃった〜」
犬飼くんの突然の夢話から一日。
あたしはわざと、犬飼くんに聞こえるように声を上げた。
前の席の犬飼くんが振り向きかけたのを視界の端にとらえると、あたしはすぐさま横を向き、「消しゴム貸して!」と隣の原田くんに手を突き出した。
ふふふ、これで犬飼くんは、あたしが犬飼くんに恋をしてるなんていうのは思い込みだって気づくでしょう。
だって、普通なら、ここぞとばかりに好きな人から借りようとするもんね。
でもあたしは原田くんに声をかけた。
ということはつまり、
犬飼くんに借りようなんて思わない
=犬飼くんとの接点を求めてない
=犬飼くんのことなんか好きじゃない!!
いくら犬飼くんが変人とはいえ、さすがに分かったでしょう。



