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01/10 04:30


「なぁ、前橋」

「え?」


放課後の教室でいきなり名前を呼ばれた
声の主は同じクラスのあまり話さない新庄くん
その人がいきなり僕を呼んだ


「何の用だった?」

「お前さ、美術のプリント出したか?」


美術のプリント…?
…あー!!
そう言えば鞄のなかにしまったままだった


「それ今日提出なんだけど
それに明日だと成績に入んないし」

「うわぁ、どうしよ
すっかり忘れてた…」


今から届けに行かなくちゃ…
でも、美術の富岡先生捜すの大変なんだよな
誕生日なのについてない…


「教えてくれてありがとう」


もう少し早く教えてくれてもよかったのに…
と少しだけ思ってしまう
でも、教えてくれたし悪気はないだろう
素直にお礼をした
急いで鞄を持って職員室へ向かう
歩き出したとき急に腕を掴まれる
驚いて振り返ると新庄くんが僕の腕を掴んでいた


「まてよ
富岡先生捜すの手伝うよ」

「え?」


今日は驚くことばかりだ
無口だと思っていた新庄くんは喋るし
その新庄くんが僕の腕を掴むし
挙げ句のはてには富岡先生捜しを手伝うと……


「ほら、行くぞ」

「え、あ、うん…」


流れで返事をしてしまった
結局二人で捜すことになった



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「富岡先生?今は居ませんね~…」

「そうですか…」


職員室に行ったが富岡先生は居なかった
はぁ、とため息をつく


「おいおい、まだ職員室だろ?
早く美術室行こう」


新庄くんは一人で歩き始めた
僕もそのあとについていった
新庄くんの背中はすごくでかく頼もしい
僕が男子とこんなに話したのは
案外初めてかもしれない


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「……いないな」

「……いないね」


美術室はカギはあいていたが誰もいなかった
もしかしたらカギを閉めに
富岡先生かま戻ってくるかもしれない
僕と新庄くんは美術室で待つことにした


「うっわ、お前絵上手いな」

「…え?」


新庄くんの前には美術の授業で描いた
風景画が飾ってあった
自分なりにも上手くできたと思う
でも、僕の隣にある子の方が全然上手いのに…


「そんなことないよ
僕よりその隣の方が上手いじゃん」


ちょっと強めに言ってしまった
すると新庄くんが僕の顔を覗いてきた


「なに、怒った?」

「………別に」


そう言って顔を逸らす
すると僕の頭をなでなでする
子供扱いされてるみたいでイラっとした
そんな僕を見てニカっと笑った
不覚にもその笑顔にドキッとしてしまった


「ごめんごめん
でも、お前の隣のやつは美術部だろ?
絵上手くても不思議じゃないじゃん」


そんなとこまで見ていたとは…
一瞬で怒りが吹き飛んだ
と同時に美術室のドアが開いた


「あれ、何してるの?」


やっと富岡先生がやって来た
僕は急いでプリントを渡す
富岡先生は笑顔でそのプリントを受けとると
僕達を急いで帰らせた



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外に出ると少しだけ暗かった
危ないからと新庄くんが家までついてきてくれた
それにしても冬は日が沈むのが早いな…


「はぁー…
誕生日なのについてないな」


ボソッと呟いたつもりが
新庄くんにも聞かれてしまったらしく


「え、なに?前橋誕生日なの?」


と聞いてきた
僕はコクりと頷く
すると少し困った顔をして足を止める
それに合わせて僕も足を止めた
どうしたのかなと思い声をかけようとした時
新庄くんが僕の目の前に来た
僕は少し恥ずかしくなって俯く
すると首にフワッと温かいものが触れた


「ほい、誕生日プレゼント」


自分がさっきまで巻いてたマフラーを
僕に巻いてくれた
寒いせいかマフラーがすごく温かい


「あ、ありがとう……」

「おうっ
ま、それ使いかけだけどな~」


そう言ってまた歩き始めた
それでもいいよ
僕は心の中でそう呟いた



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「じゃあ、また明日」

「おうっ、明日な」


手をヒラヒラとさせて
新庄くんはそのまま家に帰っていった
その後ろ姿を僕はしばらくの間眺めていた
また明日
新庄くんのその言葉が頭から離れなかった

美術のプリントを忘れて
友達と一緒に帰れなくなって
すごく災難だった
でも、そのおかけで
新庄くんと仲良くなれて
誕生日プレゼントをもらって
ちょっぴり最高な誕生日だったかも…



____end

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~あとがき~

音猫です(๑•᎑•๑)
まずは、毒っち誕生日おめでと(´,,•ω•,,)♡
いつも迷惑とかかけてるけど
これからもよろしくお願いします。

この作品の主人公の一人称が
僕なのは毒っちだからということで←
決して男同士ではないですからね!?←

作品の完成が遅れてしまって
本当に申し訳ないです(._.)
毒っちにとって良い1日になりますように


~01/10~
HAPPY BIRTHDAY♡