短編集『秋が降る』

1本ずつボタンの下についているカギ穴に入れようとするが、なかなかうまくいかない。

焦る気持ちばかり大きい。
入れても入れてもカギは回ってくれない。

どうしよう。どうしよう!

最後の数本のうちのひとつがカギ穴に吸い込まれる。
ボタンを押すが反応しない。

今度はカギを右に回してからボタンを押した。

ランプが点灯。

「やった」

ウィーーンという音がし出す。

そこへ、足音が。

遠くからヒタ ヒタと近づいてくる。

___うそ。早く、早く!

そうこうしているうちにも、どんどん足音は近づく。

___お願い、早く!