短編集『秋が降る』

頭ではなく首のあたりに当たってしまったが、意識は失ってくれたようだった。
ピクリとも動かない。

「・・・やった」
スカイを見下ろして私はつぶやくように言うと、すぐに花瓶を床に置いてからスカイのポケットを探る。

右のポケットには・・・ない。

左は・・・。

ジャラッ

カギがいくつもついた束があった。

これだ。

このうちのどれかがエレベーターのカギにちがいない。

すぐさま部屋を出ると、足早にエレベーターに向かう。
カギの束を取り出すと、思ったよりも大きな音がしてあせった。

どれがそのカギなのかわからない。