短編集『秋が降る』

「あの」
そう声を出すと、あからさまにその影が飛び上がった。

びっくりしたのだろう。

「すみません・・・。ちょっと落としてしまって」

「え? 飯野さん、どうしたんですか?」
まだ驚きから戻れないスカイが胸を押さえて尋ねる。

「ちょっと、ここ・・・見てください。落としてしまって」

「なにを落としたんですか? もう、驚かさないでくださいよ」
そう言いながら私の足元あたりをのぞきこむ。

___俊秀さん。

私は花瓶を思いっきりスカイに振り下ろした。

ドスッ

思っていたよりも鈍い音がして、スカイは倒れこんだ。