短編集『秋が降る』

「私のせい?」

「ええ。あなたが頭を勝手にぶつけて意識を失ったでしょう?勝手にぶつけただけなのに、私のせいにされましてねぇ」
男の笑みの奥には、以前の緊張ではなく怒りがあった。

「・・・」

「今日から復活しましたけど、今度は勝手に頭ぶつけないでくださいよぉ」
そう言うと、にっこり笑ってリビングから出て行った。

この2つの出来事が、私に決意させた。

___今夜、ここから逃げ出そう。